運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

色々と思い悩みながらも、いつも通り夕食を作った。

そうして、いつものように8時を回ってから徹さんが帰ってきた。
まずは手を洗い、着替えてくるよと行ってから自分の部屋に向かう。
何もかもがいつもと変わらない。

「今日は中華か、美味しそうだな」

以前作り置きしておいた春巻きを揚げ、麻婆豆腐と棒棒鶏も作った。
豪華ではないけれど、我ながらおいしそうに出来上がった。

「ビール飲みますか?」
「そうだな、少しもらおう」

いつもと変わらない食卓に、変わらない会話。
言いたいことはあるはずなのにと思いながらも、私も何も言いだせなかった。
ただ黙々と箸を進める私たちの姿は、まるで熟年夫婦みたいだなと思いながら、気負うことなく過ごせる時間が私には幸せだった。

「これ、うまいな」
「そう、ありがとう」

本当においしそうに春巻きを頬張る徹さんに、私の頬も緩んでいた。