運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

私と徹さんでは釣り合わないし、最初から隣を歩く自信なんてなかった。
ただ今の暮らしが心地よくて、一歩踏み出す勇気がなかっただけ。
私は悶々と一日を過ごし、結局徹さんのマンションへと帰った。
できることならこのままマンションを出て行きたいくらいの思いだったけれど、私にはゆく当てがなかった。

「ただいま」

誰もいないとわかっていて、玄関から声を掛ける。
朝の一件かあり、徹さんは私のことを軽蔑したはずだ。
もしかしたら出て行けと言われるかもしれない。
だから、近いうちにここを出よう。
私は自分の中で、覚悟を決めていた。
アパートはすぐには見つからないかもしれないけれど、さすがにもうここにいるのは限界だ。