運命みたいな恋は、ほら！すぐそこに転がっている

継母が現れるようになったのは、祖母が亡くなり私が大学に入ってから。
綺麗な格好をしているくせに「お金がない」と言って私にお金を無心するようになった。
もちろん私だって、余裕がある訳ではないから断り続けた。
祖母の家を処分したお金がいくらか残ってはいたとはいえ、それは竜星の学費にするつもりで手を付けないでいたが、継母は父のために使った自分お金を返してくれと主張し、私が拒んでいるとそれなら竜星が相続した分をもらうと言い出して、結局手持ちのお金を渡すしかなかった。
とはいえ私に用立てることができるのは数千円から一万円程度。
そう頻繁に現れるわけでもないし、竜星の元に行かれるよりはいいだろうと、私はお金を渡した。

「こんなにいいところに住んでいるんだから、もう少しまとめて用立ててちょうだい」
「そんなの、無理よ。ここは知り合いの家で、私は居候なんだから」

間違っても徹さんに迷惑をかける訳にはいかないと、この時の私は必死だった。