運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「どうしたんだ?誰かに声でもかけられたのか?」
「いいえ、違います」

どちらかと言うと、声をかけられるのは徹さんの方だと思うけれど、とは言わないでおこう。

「本当にどうしたんだ?」
「なんでもないんです、少し疲れたのかもしれません」

普段あまり買い物に出ないから、大勢の人の中歩いて人に酔ってしまったようだ。
でも本心は徹さんの横を歩く自分に、自信がなくなった。

「そろそろ帰ろうか」
「え、そうですね」

こうしている間にも、私の中で徹さんの存在がどんどんと大きくなっていく。
ただの同居人だとわかっていながら、意識する自分がいる。
どんなことがあっても、この気持ちは気づかれてはいけないと思いながら、私は徹さんに惹かれている自分に気づいてしまった。