運命みたいな恋は、ほら！すぐそこに転がっている

誰かのために何かを買うのはいつぶりだろう。
久しぶりの買い物に、私はウキウキしていた。
お金を払って梱包してもらい紙袋を下げて徹さんの元に戻ろうとすると、通りすがりの女性の声が耳に残った。

「あの人素敵ね。モデルさんかしら？」

女性の言葉が気になって視線の先を探すと、そこにいたのは徹さんだった。
確かに、今日の徹さんはいつにも増して素敵だ。
髪を上げ眼鏡をしているせいで学生には見えないし、強いて言うならばヤングエグゼクティブという印象。間違っても私とは釣り合わない

あんなに足早に徹さんのもとに向かっていたのに、女性の言葉を聞いて足が止まった。
やはり私が隣に立つには分不相応に感じた。

「梨々香、どうした？」

動けなくなった私のもとに徹さんの方が寄ってきた。
先ほど話をしていた女性たちは既に立ち去った後、ただそこにポツンと立っていた私に徹さんが怪訝な表情だ。