運命みたいな恋は、ほら！すぐそこに転がっている

「ごちそうさま、美味しかった」
「お粗末さまでした」

お味噌汁と卵焼きと明太子の朝食を綺麗に平らげてくれた佐山先生がお茶碗を持って立ちあがった。

「あの、片付けはしますからそのままにしておいてください」
「いいよ、これくらい」
「でも・・・」

確か今日は早めに出勤するつもりだと言っていたのを思い出して声を掛けたのに、佐山先生はキッチンへと消えていた。

住ませてもらう代わりに家事を申し出たはずなのに、佐山先生は自分も家事をしようとしてくれる。最近では一緒に夕食を食べた後の片づけはほぼしてもらっているかもしれない。
元々きれい好きらしく、リビングに生活感を感じられないほど綺麗に片付いているのもその性格から来たもののようだ。

「後は私がするので、先生は仕事に行ってください」

後を追うようにキッチンに入り片づけを変わろうと私を、佐山先生は渋い表情で振り返った。
あれ、機嫌が悪そう。
私、何かしたかしら？