運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

レントゲンの順番が来る間、私と晴斗くんは処置室の一角のにあるスペースに移った。

「晴斗くん、体重と身長を計るからお洋服を脱いでくれる?」
「はーい」
「わー、上手ね」

ここで静かに待てるだろうかと心配していた私だったが、看護師さんが何度も顔を出して上手に晴斗くんの機嫌を取ってくれて、私にも笑顔で声を掛けてくれた。
ただ、診察室で会った若い先生だけは態度が違った。

「母子手帳はお持ちではないんですか?」
「え、ええ」
「母子手帳にはお子さんの成長過程や予防接種の記録があるので、受診の際にはお持ちください」
「はい、すみません」

この人は私を嫌っていると、瞬間的にそう感じた。
もちろん医師としての態度はきちんとしているし、言っていることも間違ってはいない。
晴斗くんにだって優しく接してはいるが、私のことは嫌いなのだろう。そんな気がした。