運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「おはよう」
「おはようございます」

パジャマの上からカーディガンを羽織りリビングの先にあるキッチンへ向かおうとすると、すでに佐山先生がリビングのソファーにいた。

「早いですね」
「うん、気になる患者がいるから早めに行こうと思ってね」
「そうですか」

佐山先生が勤務する病院は月曜から金曜まで外来が開いている総合病院。
そこに勤務する医師であれば基本的には土日祝日がお休みになるのだが、入院患者や救急の対応もある佐山先生はほど毎日病院へ出勤している。
その上帰りはいつも遅いし、家に帰ってからも難しそうな顔でパソコンに向かっていることが多い。
この人は一体いつ休んでいるのだろうというのが、目下私の疑問。
そのうちに体を壊すのではないかと、ひそかに心配している。