亡くなった父はとても優しい人だった。
でも、お人よしの性格があだとなり損ばかりしていた。
祖父の代から受け継いだ小さな事業も、知り合いの連帯保証人になったことで行き詰まり私が中学に上がるころには倒産した。
その後すぐ父に癌が見つかり、あっという間に亡くなった。
それでも、私は父が大好きだった。
怒った顔なんて見たことのない父が唯一口を酸っぱくなるほど繰り返したのは『絶対に嘘をつかないこと』。私はその教えを守って今日まで生きてきた。
「だから梨々香さんは正直なのか?」
「ええ、父との約束なので」
佐山先生はやっと納得したというように頷いてから、ふと怪訝な顔をした。
「お母さまが4歳の時に亡くなって、弟さんが6歳下って・・・」
「ああ、それは」
さすが佐山先生、気が付いてしまったらしい。
こうなったらすべてを話すしかなさそうだ。
でも、お人よしの性格があだとなり損ばかりしていた。
祖父の代から受け継いだ小さな事業も、知り合いの連帯保証人になったことで行き詰まり私が中学に上がるころには倒産した。
その後すぐ父に癌が見つかり、あっという間に亡くなった。
それでも、私は父が大好きだった。
怒った顔なんて見たことのない父が唯一口を酸っぱくなるほど繰り返したのは『絶対に嘘をつかないこと』。私はその教えを守って今日まで生きてきた。
「だから梨々香さんは正直なのか?」
「ええ、父との約束なので」
佐山先生はやっと納得したというように頷いてから、ふと怪訝な顔をした。
「お母さまが4歳の時に亡くなって、弟さんが6歳下って・・・」
「ああ、それは」
さすが佐山先生、気が付いてしまったらしい。
こうなったらすべてを話すしかなさそうだ。



