運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

俺の話を聞いた後も梨々香さんの表情は暗いままだった。

「そのことが部屋を貸してくださると言う事と、どう関係があるんですか?」

自分でもなぜこんな提案をしたのかはっきりとした理由はない。
しいて言うならば、正直に思いを口にする梨々香さんに興味を持ったし、梨々香さんなら同じ空間にいても苦痛にならないそう感じた。

「だって、帰るところがないんだろ?」
「それは・・・」

俺が痛いところをつくと、彼女は黙り込んだ。

「ゲストルームは鍵付きだし、俺は夜が遅いからあまり家にいる時間も長くない。色々と事情があって住んでいるマンションだから部屋を使ってもらうほうが俺は助かるんだ」

なぜか俺は必死に彼女を説得していた。
もちろん彼女はその後も訝し気に俺を見ていたが、結局は身分も素性もはっきりしている俺のことを信じようと思ってくれたようだ。

「わかりました。今夜だけ、お世話になります」

最終的にはそう言ってくれた。