運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

4歳だと言った少年の診察を始めて気になったのが、体に残っている古い傷や多くの打撲痕。それらを見て、俺はまず虐待を疑った。
今の時代、家庭環境は複雑化し、ネグレクトや虐待は世の中に溢れている。
ただそこに親子関係や父母の情なんてものが傀儡すると、それが虐待かどうかなんて簡単には判断がつかない。
実際多くの子供が全てを正直に話してくれるわけではないし、聞き出す側が上手に持っていかなければ真相を知ることも難しい。
この時の俺も、細心の注意を払いながら少年と付き添いでやって来た若い女性の行動を観察し続けた。
だが、しばらく見ていくうちにあることに気が付いた。
どうやら少年はじっとしていることが苦手な子供のようだった。
おそらく体に残る傷や打撲痕は、そういった日常生活の中で残ったものなのだろうとわかった。