運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「俺のマンションなら部屋も余っているし、良かったら使ってもらって構わない。もし俺と一緒が不安だって言うなら、俺は医局にでも泊まるから」
「そんな訳にはいきません」

あまりの提案に、私は首を振った。
出会って数時間しか一緒にいたことのない私に自分のマンションを使ってもいいなんて、佐山先生は何を考えているんだろう。
社会的な立場だってあるはずの佐山先生があまりにも無謀なことをするとは思えないし、まじめで実直な人柄は数回会っただけの私にだってわかっている。
だからこそ、発言の意図がわからなかった。

「どうして、そんなことを言うんですか?」

この時の私は、純粋に佐山先生が何を思って言ったのかが知りたかった。

「それは・・・」

少し照れ臭そうにうつむいた佐山先生は、小さく息をついた後ゆっくりと話し出した。