運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「違うんです。風で病院の請求書が飛ばされただけで」
「え、請求書?」

説明をして請求書を見せると、佐山先生は安堵したような表情になった。
どうやら私の予想は間違っていなかったらしい。
それからしばらくの間、佐山先生は何かを考えこんでいるようだった。

「誤解させたようで申し訳ありませんが、私は大丈夫ですので」

どうか放っておいてくださいと伝えたつもりだった。
自分でもこれからのことがわからない状況で、佐山先生にかまっている余裕はない。
しかし、佐山先生の反応は意外なものだった。

「とりあえずどこかで何か食べよう」
「いえ、私は…」

さすがにこんな真夜中に食事をしようとは思えなくて、私は首を振った。

「今日は救急からの呼び出しが続いて、夕食をとれなかったんだ。おかげで空腹だ」
「でも・・・」

救急からの呼び出しにはアパートの火事も関係しているのだろうと思う。
それについては申し訳ないとも思うが、だったら私を置いて一人で行ってくださいと言いそうになった。

「お願いだから、ちょっとだけ付き合ってほしい」

どうしてもと説得され、私は断れなくなっていった。
どうせ行く当てもないし、少しくらいならいいだろうと思うようになり、最終的に私はうなずいた。