運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「失礼します」

呼ばれて入った診察室には、白衣を着た若い男性が一人。
おそらくこの人が小児科のドクターなのだろうが、ずいぶん若い印象だ。
一体いくつだろう。
ドクターって言うからには20代後半なのだろうけれど、大学生と言われても納得してしまうくらいの童顔。
目は大きな二重で、鼻筋も通り唇はぷっくりと存在感がある。そして、スリムな体形に小さめの顔。
このままどこかの雑誌に出てきても不思議ではないくらい綺麗な人だ。

「木下晴斗くんですね。何歳ですか?」
「4さい」

晴斗くんを診察室の椅子に座らせその後ろに私が立つと、晴斗くんの方に声がかかった。
少しだけ口角を上げ、真っすぐに晴斗くんを見るその眼差しは、とても優し気で穏やかだ。
そのことがわかるのか、普段人見知りで初対面の人と話をしたがらない晴斗くんも、ちゃんと答えている。

「今日はどうされました?」
「えっと・・・」

今度は私の方を見て聞いてきた先生に、考え事をしていた私はハッと我に返った。