運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

歩きながらポケットの中を確認しようとしたところで、折りたたまれた紙が手に当たった。
なんだろうと思い取り出してみると、それは病院の請求書。
保険証を持たずに受診したためあまりにも高額になった治療費を、後日払いにして帰ったのだ。
そうか、保険証も全て焼けてしまったから再発行の手続きをしなくてはいけない。
いやその前に、私には明日の仕事に着て行く服がない。
さぁ困ったぞと、くしゃくしゃになった請求書を見ていた時、ちょうど吹いてきた強い風に請求書が飛ばされた。

「うわぁー」

私は反射的に深夜の道路に飛び出した。
人も車もいないのがわかっていて、前後の確認もそこそこに駆け出したのだが・・・

「おい、こら待て」

強い言葉とともに動きを止められた。

誰もいないと思っていた場所で声をかけられ、肩を引かれ、びっくりして振り返るとそこにいたのは意外な人物だった。

「佐山先生?」

病院で別れてから1時間半ほどが経ち、既に深夜になった駅前になぜか彼がいた。