運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

次に目覚めたのは真っ白で無機質な壁に囲まれた空間。
見上げると、天井には蛍光灯があり、寝かされているベッドも硬いもの。
色々と頭の中で状況整理をした私は、ここが病院なのだと理解した。

「三上さん気がつきましたね。お加減いかがですか?」

白衣を着た女性に笑顔で声をかけられ、私も「大丈夫です」と返事をする。

実際ケガもなく、出血したわけでもない。
ただ煙を吸ったことにより喉が痛いのと、頭痛がするだけ。
それも、こうして休ませてもらったことによりほぼ回復している。

「この後診察がありますので少しお待ちください」
「はい」

この時の私は、この後診察を受け自宅に帰ることができるだろうと思っていた。
火事とは言いながら炎を見ることもなかったせいで、きっとボヤ程度だったのだろうと勝手に思っていた。