運命みたいな恋は、ほら！すぐそこに転がっている

災難は続く

健康が取り柄の私は、普段から病院へ行くこともない。
だからこそ、もう二度と佐山先生に会うことはないはずだった。
結局お互いに名前を名乗っただけの通りすがりの関係。
素敵な人だったなとは思いながらも実際には隣を歩く勇気もないし、佐山先生は遠くから垣間見てあこがれるだけの存在だと思っていた。
しかし、運命のいたずらは思わぬところで訪れる。
それは、一日に二度も出会ったあの日から半月ほど経ったある日のこと。

クンクン、クンクン。
なんだろう。
眠っていた私はいつもとは違う匂いに、違和感を覚えた。

残業で疲れ切った私が帰宅し、ベッドに入ったのは午後１１時。
それから眠りに落ちてしばらくたったころだから、すでに日付は変わっていたと思う。
鼻につくような焦げ臭い匂いで私は目覚めた。