運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「ありがとうございました」

なぜ彼が私を助けてくれたのかはわからないが、救われたのは事実。
私は素直にお礼を言った、

「ああいう酔っ払いは相手にしたらダメだ」
「ええ」

そうですね。それは私にもわかっている。
ただ、それができないから困っている。

「君には向かいない仕事だと思うよ」

その通り、そのことも私自身が一番よく知っている。
でもなぜだろう、こんな風に言われると面白くない。
今日の昼間身分を隠して受診したことを注意をされた相手だからなのか、美少年を地でいく整った顔に圧倒されたのか、私は視線を合わせることすらできなかった。

「助けていただきありがとうございます。でももう、大丈夫ですから」

どうぞもう席に戻ってくださいの思いを込めたのだが、男性は動こうとしない。