運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「梨々香、時間だ」

式の始まる時間になって、徹が迎えに来てくれた。

「行こうか」
「うん」

私は徹の手をとり歩き出す。

幸い、今日は晴天で、空には雲一つない。
まるで私と徹の門出を祝福しているかのような青空を見ながら、できることなら父にも見せてあげたかったと思っていた。

「梨々香、綺麗だよ」
「うん・・・ありがとう」

会場に入る扉の前で言われ、頬が赤くなった。

今日の結婚式は神父も仲人もいない人前式スタイル。
すでに父が他界している私を気遣ってバージンロードもなく初めから徹と二人並んで入場する。

「では、お願いいたします」

ホテルのスタッフの声で扉が開き、並んで一礼した私と徹は会場へと足を踏み入れた。