運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

幸いインフルエンザでもコロナでもなかったけれど、熱が下がるのに2日ほどかかりその後も休養をとって5日間ほど仕事を休んだ。
熱がある間は徹も側いいてくれて、のんびり過ごさせてもらった。
私のために徹が仕事を休むなんてと躊躇う気持ちはあったけれど、溜まった有給の消化でちょうどいいと笑っていた。
でも本当は、先日の婚約パーティーの後処理で色々と忙しかったらしい。

「もうしばらく、このマンションに住むことになりそうだ」
「え、大丈夫なの?」

元気になりやっと出勤できるようになった朝、まるで今日の予定でも確認するような調子で言われ驚いた。
そもそもここは徹のお母様の実家が所有するマンション。
先日の婚約パーティをぶち壊し、縁談を白紙に戻してしまったからにはここから出て行くことになると思っていた。

「元々、ここの名義は俺になっているらしいし、高島家との縁談についても義兄さんが間に入って話を付けたらしい」
「そう」

義兄さんとは沙月さんのご主人のことだろう。

「義兄さんも梨々香に会いたがっているから、今度一緒に挨拶に行こう」
「ええ、そうね」

財閥の御曹司なんて緊張するけれど、私もぜひお目にかかってお礼が言いた。