運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

朝からあった熱は病院へ行く頃には下がっていた。
受診して薬をもらったことですっかり回復したつもりでいたし、椿さんとのやり取りの中で心が張り詰めてもいた。
でも実際には発熱も倦怠感も続いていたらしく、彼女に冷水をかけられたことで、朝よりも悪化してしまったようだ。

「梨々香さん、大丈夫?」
「・・・はい」

気が付くと自分のベットに寝かされ、沙月さんが心配そうに私を見ていた。
どうやら私は、熱のせいで倒れたらしい。

「もうすぐ徹が帰ってくるからそれまではじっとしていなさいね」
「そんなの、ダメです」

外はまだ日が明るいし、徹はまだ勤務中のはず。
私のために仕事を休むなんてとんでもない。

「大丈夫、医者にだって有給ぐらいはあるは」
「でも・・・」

それでも躊躇っていると、いきなり寝室のドアが開いた。