運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

夕食は鶏の唐揚げと肉じゃがと中華サラダ。
ご馳走ってわけではないけれど、みんな徹の好物だ。
夕食ができありダイニングテーブルまで運ぼうとリビングへと向かうと、ソファーに横になっていたはずの徹の話し声が聞こえてきた。

「ええ、迷惑をかけたのは承知しています。しかし、僕は何度も断ってほしいとお願いしたはずです」

普段の徹からすれば言葉は強いが、口調は穏やかで荒々しさはない。
静かに淡々と話しているように聞こえた。

「申し訳ありませんが、他に方法がありませんでした。僕は、この縁談をお受けするつもりはありません」

姿は見えないけれど、電話の相手に頭を下げているのがわかった。
だからこそ、私は胸が苦しくなった。