運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「行くぞ」

暖かな温もりが私の腕をつかむ。
どうやら徹は私がここにいることに気がついていたらしい。
私は徹に腕を引かれ、ホテルを出た。

外出用のワンピース姿の私とタキシードを着た徹は周囲から見れば違和感のある2人だが、それを気にする余裕はなかった。
ホテルの前でタクシーを拾い向かうのは当然私たちの住むマンション。
聞きたいことも言いたいこともあるのに、車内では何も言えないままただ黙っていた。


「ただいま」

いつものように声をかけて、部屋へ入っていく徹。
私もその後ついて帰宅した。

「はぁー、疲れたな」
「うん、そうだね」

今日の行動は徹が自分で選んだものだから、私には何も言うことはできない。
徹だってこの行動がどんな影響もたらすのかわからないはずもないだろうし、実際他に方法がなかったのだろう。

「ご飯、作ろうか?」
「うん、頼むよ」

今の私にはそのぐらいの事しかできなくて、食事の支度にキッチンへと向かった。