運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

仕事ではない外出なんて珍しいから本来ならウキウキするはずなのに、重い気持ちのまま私が向かったのは都心のホテル。
新年と言うこともあり浮かれムードの街中を通り、広大な敷地に建つ巨大なホテルの前で足を止めた。
普通なら通り過ぎるだけの豊かな緑地にまずは目を奪われ、そのまままっすぐエントランスへ進むと、重厚な建物が見えてくる。
若干気おくれ気味にホテルへ入ると、そこにはラグジュアリーな空間が広がっていた。
なるべくキョロキョロしないようにと意識しながら、私は指定されたホールへと向かう。

昭和の初めに建築された十階建ての本館と20階建ての新館が2つ。
私は本館大ホールの前に設けられたラウンジへ来た。
このホールはよくテレビでも見るような立派なパーティー会場。
今日も何か催しがあるようで、きれいなお花が続々と搬入されている。
指定された時刻は昼の12時半。
1時までには行くから待っていてくれということだったので、とりあえずオレンジジュースを注文し椅子に腰をおろす。
ものめずらしも手伝って私は周囲を見回した。