運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

その後私は容子と食事をした。
カフェの軽食と思っていた予想とは違い、出てきたのは色鮮やかで手の込んだ創作フレンチ。
手を付けるのがもったいないくらい綺麗お料理だったけれど、私には味の記憶がない。
一瞬だけ見えた徹と女性の並ぶ姿が目に焼き付いて、思考が止まっていた。

「とにかく彼と話をしなさい。意地を張って後々後悔しても遅いんだからね」

別れ際、真っすぐに目を見た容子に言われたセリフが、心に刺さった。
自分の言いたいこともやりたいことも我慢してしまう傾向のある私を、容子は心配してくれたのだろう。
私だってこのままではいけないとわかっている。

「ありがとう、がんばってみる」

一生懸命に笑顔を作って、私は容子に手を振った。