運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

私にとって唯一の親友である容子にだって、すべてを打ち明けるのは勇気がいる。
それでも同じ女性として、素直な意見が聞きたかった。
マンションに居候していることは以前に話をしていたから知っていた容子も、徹と関係を持ったことやフィアンセと名乗る女性が現れたことにはすごく驚いた顔をした。

「その人は、本当にフィアンセではないのね?」
「ええ、徹はそう言っているわ」

嘘をつくような人じゃないから、真実なのだろうと思うけれど…

「それでも、梨々香は不安なんでしょ?」
「うん、徹はその人に心当たりがあるようだったから」

徹とその女性との間に縁談話があるのは事実のようだし、少なくとも先方は終わった話とは思っていないようだ。

「心配なら、徹さんにはっきりと聞けばいいじゃない」
「それは…」

それができれば苦労はしない。
男女の関係を持ったからといっても私は居候の身で、恋人でもなければ結婚相手でもないし、真実を徹の口から聞くのが怖い気もする。

「一人で悩んでいてもどうしようもないでしょ?」

強気で男前で竹を割ったような性格の容子からすれば、私のような人間はじれったいのだろう。
親友とは言いながら意気地なしの私は、いつも容子がうらやましかった。
やはり私はダメだなと落ち込み気味に外窓の外を見た時、私は息が止まりそうになった。