運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「そうだ、正月には一緒に初詣に行かないか?」
「初詣?」

朝食の途中、唐突に言われてびっくりした。

「大みそかと元旦は仕事を入れていないから、ゆっくりできるんだ。クリスマスも一緒にいる時間がなかったし、どうだろ?」
「ええ、いいわね」

二人で出かけるなんてまるでデートみたいねと思っても、口に出す勇気がなかった。
フィアンセを名乗る女性と徹の関係が気にならないと言えば嘘になる。
徹はフィアンセなどいないと言ってはいるが何か心当たりがあるような様子だし、その思いは関係を持ってしまったからこそ強まっている気さえする。

「今日は外来もないから、7時には帰れると思う」
「じゃあ、夕食にお鍋とかどうかしら?」
「いいね、楽しみにしているよ」

最近の徹は、帰宅の時間を教えてくれるようになった。
私はその時間に合わせて食事の用意をする。
こんな日常の中にある小さな幸せを感じながらも、これ以上ここにいれば自分が止められなくなりそうで怖い気がしていた。