運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「梨々香、今日が今年最後の勤務だろ?」

年末も差し迫った12月29日。
いつものように朝のシャワーから出てきた徹が台所を覗きながら聞いてきた。

「ええ、明日から1月5日までは園も休みなの。徹さんは」
「おい」
「ああ、ごめん。徹はお正月も仕事があるのよね?」
「うん、年末年始の2日間だけだが仕事に出るよ」
「そう、大変ね」

体を重ねるようになってから、敬語もさん付けで呼ぶのもやめようと約束した。
正直まだ慣れなくて口に出すときにはつい「徹さん」と呼びそうになるけれど、二人の距離が近づいたみたいで悪い気分ではないし、いつか終わるとわかっている関係だからこそ私は今だけの幸せを嚙み締めている。