運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

婚約の意思がないのなら、無視してしまえばいい。
俺が現れなければ婚約パーティー何て成り立たない。
祖父母には迷惑をかけることになるが、そもそも俺の望まない結婚をごり押ししてきたのは向こうだ。
人柄がいいのも年老いて弱ってきているのも承知しているから、できるだけ願いをかなえてあげたいとは思うが、さすがに俺の恋愛や結婚にまでは踏み込んでほしくないし、祖父母の方もそのことは承知してくれているはずだ。
おそらく側近やグループ企業の重鎮あたりが勝手に動いているのだろう。
もちろん俺だって、初めからこんな婚約を受け入れるつもりは無い。
ただ問題は断る方法だ。
嫌だと言っているだけでは相手はまた次の手を打ってくるだろう。
逃げるのではなくはっきりとした意思表示をする必要があるのだが…

「さあ、困ったぞ」

このままでは相手の思うままに話を進められてしまうかもしれない。