運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

寝室を出て浴室に向かい、温かなシャワーを浴びた。

今までに恋愛経験がない訳ではないが、どちらかというと相手から告白されることが多かった。
全てを独占したいと願い、自分から求めた女性はいなかったように思う。
そういう意味で、俺は今幸せの絶頂にいるはずだった。
ひとつの気がかりを除いては・・・。
朝一番、誰もが眠っているはずのタイミングで送られてきた母の実家からのメッセージは俺の婚約に関するものだった。
もちろん俺が望んだものでも、承諾したものでもない。
それは、家同士の付き合いがありどうしてもと頼まれて食事をした女性との縁談。
食事をして祖父母の顔を立てたものの、結婚をするつもりは無いと何度も断った。
しかし、俺の知らないところで火種はくすぶっていたらしい。
先日梨々香からフィアンセを名乗る女性に会ったと聞いた俺は改めて結婚の意思はないと伝たのだが、そのことが逆に強硬な手段に出るきっかけを作ってしまったらしい。
勝手に会場を押さえ、婚約パーティーを開くと言ってきたのだ。