「あの、ここは…」
数秒間の沈黙の後、梨々香は俺に尋ねてきた。
「寝室だよ、俺のな」
家賃の代わりにと普段から家の中の掃除をしてくれる梨々香も俺の部屋に入る事は無い。
洗濯物もリビングや部屋の前に置いてある位だから、俺がいない時にも入った事は無いはずだ。
別に俺は入られたって構わないが、梨々香としては遠慮してのことだろう。
「・・・どうして?」
「覚えてないのか?」
「えっと・・・」
梨々香の記憶がどこまであるのかはわからない。
できることならば、あの男の記憶が全部残っていないといいなとは思うが、眠りながら流していた涙の跡を見ると、そうもいかないのだろうな。
「俺が迎えに行って連れて帰ったんだ。梨々香は眠っているようだったから、ベッドに寝かせた」
「そう、だったのね」
力なく肩を落とした梨々香が、うつむいた。
おそらく昨夜のことを思い出しているのだろう、再び梨々香の目に涙が浮かんだ。
数秒間の沈黙の後、梨々香は俺に尋ねてきた。
「寝室だよ、俺のな」
家賃の代わりにと普段から家の中の掃除をしてくれる梨々香も俺の部屋に入る事は無い。
洗濯物もリビングや部屋の前に置いてある位だから、俺がいない時にも入った事は無いはずだ。
別に俺は入られたって構わないが、梨々香としては遠慮してのことだろう。
「・・・どうして?」
「覚えてないのか?」
「えっと・・・」
梨々香の記憶がどこまであるのかはわからない。
できることならば、あの男の記憶が全部残っていないといいなとは思うが、眠りながら流していた涙の跡を見ると、そうもいかないのだろうな。
「俺が迎えに行って連れて帰ったんだ。梨々香は眠っているようだったから、ベッドに寝かせた」
「そう、だったのね」
力なく肩を落とした梨々香が、うつむいた。
おそらく昨夜のことを思い出しているのだろう、再び梨々香の目に涙が浮かんだ。



