運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「梨々香先生、ほら足元危ないから」

いかにも私を介抱するように、肩に手を回す。

「え、いや、ちょっと」

もちろん私も避けようとするのだが思うように体が動かないし、純粋に私を介抱するためだけの行動だったとしたらと思うと、大きな声を上げることもできなかった。

「とにかくどこかの店に入りましょう」
「いや、でも・・・」

これ以上お酒を飲むつもりは無いが、段々と酔いが回ってきた頭ではまともな思考力もなくなってきた。
私は肩を抱えられながら、晴斗くんのお父さんとともに歩くしかなかった。

「ほら、そこの店に入りましょう」

そう言って示されたのは大きなネオンの看板がある建物。

「え、ちょ、ちょっと待ってください」

看板に書かれた『ホテル』の文字に体が固まった。
マズイ、逃げなくては・・・
頭ではそう思いながらも、がっちりと肩を抱かれた状態では逃げ出すことができない。

「お願いやめて」

もうだめかもしれないと思いながらも必死に抵抗をしていたその時、不意に体が自由になり私は解放された。

「おい、何をやっているんだ」
「何だ、またお前か」

朦朧とした意識の中で聞こえてきた男性ふたりの声。
しかし、緊張と酔いで意識朦朧状態の私はその場に座り込んだ。