運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「梨々香先生」

ちょうど人気のない薄暗い路地を歩いている時、背後から名前を呼ばれた。
その声に聞き覚えがあり、だからこそ私は足を止めることをしなかった。

「梨々香先生、待ってください」

私に声が届いていないと思ったのだろう、後ろから呼ぶ声は大きくなり足音も近づいてくる。
そして、肩をつかまれた。

「キャッ」
思わず出た声。

私は肩に置かれた手を振り払うように後ずさりしながら振り返った。
自分でも強張った表情をしている自覚はある。
それに対して私の目の前に立った晴斗くんのお父さんは、唇の端を片方だけあげて笑っていた。