運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

決してお酒が好きなわけではないけれど、一日働いた後のよく冷えたビールは格別だった。

「美味しそうですね」

ジョッキの3分の一ほど開けたところで、背中から声がかかった。

「すみません」

若い女性がグビグビとジョッキを傾ける姿がはしたないと言われた気がして、謝罪の言葉が口から出た。

「嫌だなあ、何で謝るんですか?」
「それは・・・」

実際のところ、相手の本心がどこにあるのかはわからない。
それでも私は警戒してしまった。
なぜなら、目の前でニコニコと笑っているのは晴斗くんのお父さんだったからだ。

「せっかくの機会なんですから、どうぞ飲んでください」

そう言うと、晴斗君のお父さんは持っていたグラスをテーブルに置き空いていた隣の椅子に腰かけた。
一瞬居心地の悪さを感じた私も、どうせならこの機会に先日のわだかまりを解いておこうと思い直した。