運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「姉ちゃん、心配かけてごめん。俺、ちょっと頑張りすぎてしまったらしい」

黙り込んでしまった私に、竜星が謝ってくれた。

「いいのよ。それより、医学部の受験が負担になっているんじゃないの?」

そのことが一番気になった。
もし無理強いしていたのならとんでもない姉だ。

「大丈夫だよ。俺自身が医者になりたいと望んだんだ。姉ちゃんは関係ない」
「そう、ならいいけれど。くれぐれも無理をしないようにね」
「はい」

竜星は笑顔で返事をしてくれた。
すると、今度は徹さんが竜星に向き直った。

「僕も人生の先輩として一言言わせてもらうとすれば、体調管理も能力のうちだ。社会に出ればもっともっと無理をするときが出てくる。そんな時に自分の体調管理もできないではダメだぞ」

それまで様子を見守っていた徹さんが、竜星に声をかける。

「はい、肝に銘じます」

竜星も神妙な表情で答えた。

「それから、僕は君のお姉さんとは親しい友人でね、君が医学部受験をするのも聞いている。何か困ったことがあれば相談してくれたらいい」
「ありがとうございます」

少しだけ驚いた顔をした後、竜星は私と徹さんの顔を交互に見ながら頭を下げた。