運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

その後すっかり元気になった竜星も呼ばれ、診察を受けることになった。
「随分疲れが溜まっていたのかな?」
「試験前だったので、無理をした自覚はあります」
「睡眠不足?」
「・・・はい」

ふたりの会話を聞いて、驚いたのは私だった。
二年後に医学部受験を目指している竜星が努力しているのは知っている。
医者になりたいなら勉強するのは当たり前だと思うし、とてもじゃないけれど私立の医学部なんて行かせてやれない以上国公立を目指して頑張ってもらうしかない。
しかし、倒れるほど無理をしていたとなると話は別だ。

「竜星、あなた」
「まあ落ち着いて」

思わず竜星に詰め寄ろうとした私は、徹さんに止められた。

「でも、倒れるほど無理をするなんて」
「竜星君もお姉さんに心配かけまいと頑張りすぎた結果だから」
「そんな・・・」

確かに、私は竜星に期待していた。
両親がいなくても立派に育つんだと、継母に証明したい気持ちがどこかにあった。
そのことが竜星のプレッシャーになっていたのかもしれない。