運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

私には、徹さんに文句を言う資格はない。
好意に甘えてここに住まわせてもらっていること自体が図々しいことだと思う。
それでも、やはり人として許せない。
そんなことを思っていたせいか、口から出てきたのは愚痴のような言葉だった。

「とっても綺麗な人でびっくりしちゃった。先に教えといてくれたら、こんなに驚かなかったのに」

これでも精一杯平常心を装った。
傷ついている気持を悟られたくなかった。

「ああ見えて姉貴は口やかましいいから、何か言われたのか?」
「それは、徹さんのことが心配だからで、え?」

なんだか話が食い違ってると、この時気がついた。
徹さんが話しているのはお姉さんである沙月さんのことだ。

「違うの、私が言いたいのはお姉さんではなくて、フィアンセの」

言いかけてから、しまった自分から話すつもりではなかったと言葉を止めた。

しかし、今度は徹さんの顔が険しくなった。

「梨々香、どういうことだ?」