運命みたいな恋は、ほら！すぐそこに転がっている

美人だったと言う母の血を引き継いだために人よりも少しだけ目や鼻のパーツが大きくて目立つ顔立ちをした私は、学生の頃から友達の恋愛沙汰に巻き込まれることが多かった。
私自身は何とも思っていないのに、略奪しただの色目を使っただのと因縁をつけられたことも1度や2度じゃない。
女子からは目の敵にされて遊んでいると言う噂も流され、男子からはつきまとわれ怖い思いだってした。
だからこそ、恋愛には消極的だった。
そんな私に御曹司との恋愛なんて、ハードルが高すぎる。
そもそも、丸川商事とは国内外で手広く事業展開する上場企業で、従業員だって数千人では効かないし、徹さんがそんな大企業の縁者だなんて聞いたこともなかった。
もちろん、これだけ豪華なマンションに住んでいるからお金持ちなのだろうと思っていたけれど、さすがに想像のはるか上を行っている。
私は改めて徹さんとは住む世界が違うのだと痛感し、早くこのマンションを出て行かなくてはいけないなと感じていた。