運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

その後、美味しいお茶を飲み、世間話をし、緊張はしながらも楽しい時間を過ごした。

「ああ見えて頑固で、言い出したら聞かないし、こだわりも強いから大変でしょ?」
「そんな・・・」

頑固でも大変でも無いけれど、自分の信念を持っている人なのは間違いないだろう。

「あの子が女の子を家に上げているって聞いて、本当に驚いたのよ。ここにも一緒に来たって聞いたから、買い物がてら話を聞こうと思って来てみたところだったの。こうしてお目にかかれてよかったわ」
「私も、お会いできてうれしかったです」

昨日の晩から、『沙月』という名前が気になっていた。
もしかして恋人かしらと不安になりながらも、直接聞く勇気がなくて悶々としていたし、そんな風にウジウジと悩んでいる自分にも腹が立って落ち込んだ。
だから、正体がお姉さんだと知ってホッとした。

「梨々香さん、またお目にかかりましょうね」
「はい」

帰り際までにこやかに、お姉さんは手を振ってくださった。