運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

こだわりの詰まった小さなセレクトショップだけに常連客が多いのだろう。
カウンター席に座っている人も店員も、皆親しげに言葉を交わしている。
私たちもワッフルを勧めてくれた隣の席の女性客と話をしながら、何種類もある紅茶の中から好みのものを選んだ。

「帰りにコーヒー豆も一緒にいただいていこうと思いますので、お願いします」

注文をし終わったタイミングで、忘れる前にお願いしておこうと店主に声をかけた。
しかし、店主の反応がちょっとおかしかった。
チラッと隣に座る女性客に視線を送った後、再び私の方を見たのだ。

「えっと…オリジナルブレンドの深煎りでよかったですか?」
「ええ、それでお願いします」

徹さんからは、定期的に購入しているものだから「佐山徹の家で使っているものを」と言えばわかるはずだと言われていた。さすがにそのままを口にする勇気はなかったが、どうやら私の顔覚えてくれていたらしい。