運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「素敵な店ね」
「そうでしょう」

私から話を聞いていたとはいえ、普段の私らしからぬチョイスに容子は驚いた顔した。

「いらっしゃいませ」

先日お邪魔した時にも見かけた女性店主が笑顔で迎えてくれて、私と容子はカウンター席に座った。

「ここはコーヒーと紅茶とマフィンがおいしいの」

まるで自分が見つけたお店のように容子に自慢していると、隣の席に座っていた女性客がこちらを振り返った。

「お店で焼いてるワッフルもオススメなんですよ。生地に使う小麦粉も卵もミルクも全部オーガニックで、蜂蜜もジャムも厳選したものを使っているから、安全でおいしいの」

常連客なのだろうか、小声で助言をしてくれる。

「ごめんなさいね。この人うちの元店員なの、悪気は無いから」

店主が笑顔で謝ってくれるが、決して悪い気持ちにはなっている訳ではない。

「いえ、教えていただいてありがとうございます。ぜひワッフルをいただきます」

私も容子も迷うことなくおすすめされたワッフルを注文した。