素直と天然と少しの頑固を加えて

仕事の帰り、駅に向かって歩いていたら鈴木さんに声を掛けられた。
近付いてきただけで匂い、いや臭いで判ってしまう。
「この後時間あリますか?
良かったらお茶でもどうですか」
この臭い、やっぱり無理。
どうして誰も何も言わない!
「ごめん、ちょっと用事があって」
逃げて帰ろうとすると、前に橘樹さんが。

「この後、飯行かない?」
初めの班の奴らだ。
先を越される訳にはいかない。
立ち止まってしまってたら後ろから臭いがやって来た。
思わず、「橘樹さん、お待たせ」
約束なんかしてなかったけど、腕を掴んで駅に向かう。
「助けると思って、黙って駅まで着いてきて」
小さく耳元で囁いた。
無理矢理だけど、何となく察して付き合ってくれた。

…、助かった。