素直と天然と少しの頑固を加えて

「昨日はありがとう」
昨日、私は電話を掛けられなかった。
それどころか、私から電話した事って…。
いつも克君に任せっぱなし。
なのに焼きもちを焼く?

「ごめんなさい。返信しないで寝てしまって…、」
呆れられてもしょうがない。

「これで最後にする」
何を?別れ話?いやまだ付き合って無いけど…。

「昨日の女の子、ゼミが一緒の人で…、」
その人と付き合うことにしたんだ。

「インフルエンサーってやつ?チョコをSNSに上げてもらったんだ」
そんな凄い人となんて…、私となんか、『月とすっぽん』、比べるのもおこがましい。

「そうなんだ」
おめでとうなんて言えない。

「彼女に言われた」
付き合おうって?

「紗依にちゃんと説明しろって」
わざわざ言われなくても、付き纏ったりしませんから。
内定、辞退しなくて良かった。

「『付き合ってる人の前で、ほかの女の子の手を引いているのは如何したものか、私ならぶん殴ってやる』ってね。俺は紗依の事しか好きじゃないし、ほかの人のことは考えてなかった。でも、こんなしつこい俺のことをまだ思ってくれてるなら別れたくない」