素直と天然と少しの頑固を加えて

4年になり、採用試験の季節がやって来た。
エントリーシートを提出し、企業説明会にも参加した。
去年と同じ顔ぶれもいるけど、人数はかなり増えていた。

今日は筆記試験で、明日が集団面接。
あの鈴木さんが近づいてきた。
「高木君もやっぱり来てたんだ。お互い頑張ろうね」
甲高い声と化粧品の臭いで廻りから注目を集めてる。
おまえは頑張らなくても受かるだろ。
少しでも逃げたいが中々逃げ場が見つから無い。
「高木君、おはよう」
橘樹さんだ。
「前の方が良く聞こえるから席取ったんだけど、高木君も来る?」
そんなの、もちろん、『行く』に決まってるだろ。
睨みつけられたけど、『じゃ』また後でとは言わない。

試験の前に役員の挨拶が、あの二人の部長と目が合った。
入社前からややっこしいことに巻き込まれたくない。