放課後、箒で掃除をすることも忘れ、ただ苛立ちに似た感情が渦巻いた。


あの子が羨ましい。



自分の求めている全てを、持ってて。



そんなことを思う自分が気持ち悪い。
吐き気がする。

口元を抑え、言葉を飲み込む。
馬鹿みたいに酷い顔をしていたと思う。

ないものねだり。そうだと分かっていても


妬んでしまう。


「…早く帰ろ、」


私は箒を片付け、鞄に教科書を入れて、さっさと教室を後にした。


自分の想いも、教室に置いて行ければよかったのに。