それから、イライラしながら私は箒を取り出し、教室の床を掃く。



「なんで……」


1人の教室で、イライラと、日々のストレスが混じったような一言が綺麗なオレンジの光に消える。



なんでだろう。




なんで、こんなにイライラするんだろ。




何もかも、全部平凡な私が。




ガラガラと、誰かが焦りを含みながら教室のドアを開けた。



…黒涼早希。

成績優秀。運動神経抜群。
すぐにこちらに気付いて、微笑みかけてきた。





「掃除、任されたの?」



「…うん。そう。」




早希を前にすると、なんでか、心のモヤが広がる。
気分が晴れない。



愛想のない返事も、そっかそっか、と頷いて聞いていた。






「掃除、お疲れ様。ありがとう」

行儀よく、頭を早希は下げて、

またね、と手を振って帰っていく。








あぁそっか、私、




「早希を、妬んでるんだ。」