エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 洗い物を始めると「何考えてるの?俺には言えない?」と今度は後ろから抱きしめ顔を近づけられる。
 「えっと...」どう言ったらいいか分からず言い淀んでいると、耳や首に唇を落とし始めた。
 「っん...柊哉さん、くすぐったいです」
 身体を捩っても腕の力が強まるだけで離してくれないうえに、耳を甘噛みしたり舌を這わせたり徐々にエスカレートしていき「優茉が言ってくれるまでやめない」そう耳元で囁いてから、鎖骨まで舌を這わせてくる。
 「だ、だめです!食器落としちゃう...」
 「じゃあ、言う?」
 見つめ合ったまま数秒の沈黙が落ち、私が先に目を逸らすと今度はお腹に巻きついていた手がニットの裾から侵入してきた。
 「っ、待ってください!い、言いますから...」
 「じゃあ、聞かせて?」とニコッと笑って泡がついた私の手を洗い始めるので、観念してこのモヤモヤとした心の内を話し始めた。
 「じゃあ優茉は俺がまた彼に嫉妬して怒っていると思ったんだ?」
 「...違うんですか?」
 「そんな怖い顔したつもりはなかったんだけど。俺は優茉がキョロキョロしていたから、どうしたのかなって思っていただけだよ?」
 「え...?今日一日中その事が頭に引っかかっていたんです...」
 「じゃあ今日は一日中俺の事を考えてくれていたんだ?」
 「今日だけじゃありません!ずっと柊哉さんの事しか考えてません!」
 私の勝手な勘違いだったと分かり、真剣に悩んだのに...と少し不貞腐れて勢いよく言ってしまった言葉は、よく考えるとすごく恥ずかしい言葉で...。気づいた時にはもう遅く、俯いた顔を覗き込んでくる彼の瞳には熱が宿っている。
 「そんな可愛いこと言われたら我慢できないよ?」