エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 実家に到着し車を降りると、待ち侘びたようにおばあちゃんが玄関から出てきた。
 「優茉ちゃんお帰り!香月さんもようこそいらっしゃいました。待っていましたよ、寒いから早く入ってね」そう言いながら玄関まで私たちの背中を押す。いつもと変わらず明るくお喋りなおばあちゃんをみると、心がホッとして自然と笑みが溢れた。
 リビングへ入ると、大きなローテーブルにはたくさんのお料理が並べられていて、おばあちゃんがどれだけ張り切ってくれたのかが一目瞭然だった。
 一通り挨拶をして食事をしながら近況などを話していたけれど、喋っているのはほとんどおばあちゃんとおじいちゃん。和やかな雰囲気の中ほとんど言葉を発しないお父さんの方を時々ちらりと見るけれど、感情は読み取れない。 

 食事の後、キッチンで手伝いをしていると「優茉ちゃん、ずいぶん素敵な人見つけたじゃない!イケメンさんだし優しそうだし、その上お医者さんだったなんて!おばあちゃん達も安心だわぁ、これからは優茉ちゃんが発作を起こしてもすぐに診てもらえるんだもの」とすごく嬉しそうに言うおばあちゃん。
 「今まで心配かけてごめんね、もう大丈夫だから」
 「そうね!おじいちゃんも優介も心配していたけれど、香月さんなら安心して優茉ちゃんを任せられるわ!」
 昔から身体が弱かった私の事を、大人になった今でもずっと心配してくれていたんだ...。おばあちゃんの気持ちにじんわりと目が潤んでくる。誤魔化すように俯きながらお茶の用意をして、目元を拭ってからテーブルへと運んだ。

 優茉も座りなさいとおじいちゃんに言われ、柊哉さんの隣に座ると本題をきり出す。
 「香月さんは大きな病院の跡取りなんだろう?相手がごく普通の一般家庭で育った優茉でいいのかい?」
 「はい、家柄などは関係ありません」
 「医者だと忙しいだろう?優茉といる時間はあるのかい?」
 「なるべく多くの時間を優茉さんと共有して、これからの人生を共に歩んでいきたいと思っています」
 おじいちゃんの質問にも一つ一つ真剣に向き合って答える彼の横で、私も佇まいを正し頭を下げる。
 「ほれ、優介も何か言う事があるだろう?」
 優介とは私のお父さん。おじいちゃんに促されて、今までほとんど言葉を発していなかった父がようやく口を開いた。