翌日、目が覚めると隣に先生の姿はなく慌てて時計を見ると九時を回っていた。
先生の為に朝ごはんとお弁当を作るつもりだったのに...寝坊してしまった...。昨夜はなかなか動悸が治らなくて全然寝付けなかったからかな...
夜ご飯は先生に喜んでもらえるメニューにしようと思い、一通り家事を済ませると近くのスーパーへ出かけた。
でも何にしようかな...?先生は私が作ったものはなんでも美味しいと残さず食べてくれる。なんて事ないどちらかと言うと和食中心の地味な料理だけれど、先生はしばらく海外に住んでいたのでこんな料理でも新鮮なのかと思っていた。けれど、昨日公園で聞いた話を思い出す...
"子どもの頃に母を亡くしているんだ"
まさか先生も私と同じでお母さんを亡くしているなんて...知らなかった。
子どもの頃っていくつの時だったんだろう...もしかしたら、家庭料理自体あまり食べていなかったから?素朴な料理が新鮮だった...?
もう傷は癒えていると微笑んでいたけれど、先生の笑顔は少し寂しそうにみえた。
結局、悩んだ末に洋食メニューに決めグラタンにサラダとオニオンスープを作ったみた。
八時頃帰宅した先生は家に入るなり「いい匂いがする」と嬉しそうに言ってくれる。テーブルに並べると「レストランみたいだな」と柔らかい表情で笑ってくれた。まだ髪の毛もセットされたままできりっとしているけれど、すでにお家モードなのか口調も優しい。
「すごく美味しいよ、ありがとう。でも大変だったんじゃない?嬉しいけど、今日はゆっくりしていてよかったのに」
「いえ、朝は寝坊してしまってすみませんでした。疲れは残っていないので大丈夫です」
「そう?無理していない?」
「はい、先生こそお疲れ様です」そう言うと、彼はピタッと食べるのを止めこちらをじっと見ている。
「優茉、ここは病院じゃない」
「...お疲れ様です。しゅ、柊哉さん?」
自分で気がつき改めてそう言い直すと「忘れてたでしょ?」とすごく嬉しそうに笑った顔にドキッとした。
しかし、食事の後すぐに彼のスマホが振動し電話に出ると先程までの表情から一転、眉間に皺を寄せ鋭い眼差しに変わった。
「ごめん、呼び出しだ。事故で搬送された患者さん、頭部外傷でオペが必要になりそうなんだ。帰りは遅くなるだろうから先に寝ていて」玄関に向かいながらそう早口で説明する先生の後を追って「わかりました、お気をつけて」なんとかそれだけを言って見送った。
さっき帰ってきたばかりなのに本当に大変だなぁ...。布団に入ってからも考えてしまうのは先生の事ばかり。ひんやりとしたシーツに寂しさが増す一方で、なかなか身体は温まらない。先生の温もりが恋しいなんて...私どうかしている。つい二週間ほど前までいつも一人でご飯を食べて一人で寝ていたのに。
先生と一緒に暮らす生活に慣れつつある自分が怖くなる。後どれくらいここに居られるのかもわからないのに、私また前の生活に戻れる...?誰かがいてくれる安心感や温もりを知ってしまった今、それを失う事が急に怖くなった。
いや、誰かじゃない。...先生、だから。
いつも私を気遣ってくれる優しさ、美味しそうに私の作った料理を食べてくれる姿、病院とは違うリラックスした笑顔、ハグした時の先生の体温...。もちろん失う事は決まっているのに、思い出すと苦しくなる。
それでも、自分の気持ちを認めたくない。きっと家族の様な温もりを感じてそれが嬉しかっただけ。溢れてきそうな気持ちに蓋をして、必死に気付かないふりをしたかった。
先生の為に朝ごはんとお弁当を作るつもりだったのに...寝坊してしまった...。昨夜はなかなか動悸が治らなくて全然寝付けなかったからかな...
夜ご飯は先生に喜んでもらえるメニューにしようと思い、一通り家事を済ませると近くのスーパーへ出かけた。
でも何にしようかな...?先生は私が作ったものはなんでも美味しいと残さず食べてくれる。なんて事ないどちらかと言うと和食中心の地味な料理だけれど、先生はしばらく海外に住んでいたのでこんな料理でも新鮮なのかと思っていた。けれど、昨日公園で聞いた話を思い出す...
"子どもの頃に母を亡くしているんだ"
まさか先生も私と同じでお母さんを亡くしているなんて...知らなかった。
子どもの頃っていくつの時だったんだろう...もしかしたら、家庭料理自体あまり食べていなかったから?素朴な料理が新鮮だった...?
もう傷は癒えていると微笑んでいたけれど、先生の笑顔は少し寂しそうにみえた。
結局、悩んだ末に洋食メニューに決めグラタンにサラダとオニオンスープを作ったみた。
八時頃帰宅した先生は家に入るなり「いい匂いがする」と嬉しそうに言ってくれる。テーブルに並べると「レストランみたいだな」と柔らかい表情で笑ってくれた。まだ髪の毛もセットされたままできりっとしているけれど、すでにお家モードなのか口調も優しい。
「すごく美味しいよ、ありがとう。でも大変だったんじゃない?嬉しいけど、今日はゆっくりしていてよかったのに」
「いえ、朝は寝坊してしまってすみませんでした。疲れは残っていないので大丈夫です」
「そう?無理していない?」
「はい、先生こそお疲れ様です」そう言うと、彼はピタッと食べるのを止めこちらをじっと見ている。
「優茉、ここは病院じゃない」
「...お疲れ様です。しゅ、柊哉さん?」
自分で気がつき改めてそう言い直すと「忘れてたでしょ?」とすごく嬉しそうに笑った顔にドキッとした。
しかし、食事の後すぐに彼のスマホが振動し電話に出ると先程までの表情から一転、眉間に皺を寄せ鋭い眼差しに変わった。
「ごめん、呼び出しだ。事故で搬送された患者さん、頭部外傷でオペが必要になりそうなんだ。帰りは遅くなるだろうから先に寝ていて」玄関に向かいながらそう早口で説明する先生の後を追って「わかりました、お気をつけて」なんとかそれだけを言って見送った。
さっき帰ってきたばかりなのに本当に大変だなぁ...。布団に入ってからも考えてしまうのは先生の事ばかり。ひんやりとしたシーツに寂しさが増す一方で、なかなか身体は温まらない。先生の温もりが恋しいなんて...私どうかしている。つい二週間ほど前までいつも一人でご飯を食べて一人で寝ていたのに。
先生と一緒に暮らす生活に慣れつつある自分が怖くなる。後どれくらいここに居られるのかもわからないのに、私また前の生活に戻れる...?誰かがいてくれる安心感や温もりを知ってしまった今、それを失う事が急に怖くなった。
いや、誰かじゃない。...先生、だから。
いつも私を気遣ってくれる優しさ、美味しそうに私の作った料理を食べてくれる姿、病院とは違うリラックスした笑顔、ハグした時の先生の体温...。もちろん失う事は決まっているのに、思い出すと苦しくなる。
それでも、自分の気持ちを認めたくない。きっと家族の様な温もりを感じてそれが嬉しかっただけ。溢れてきそうな気持ちに蓋をして、必死に気付かないふりをしたかった。
