エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 先生とのお出かけは朝からドキドキしっぱなしだった。でも、行きたかった場所見たかった景色、食べてみたかった物も全部わくわくして嬉しくて少しはしゃいでしまったかもしれない。
 結局私が行きたい所に連れ回してしまったけれど、先生は終始穏やかな笑みで「一緒に来られて嬉しい」と言ってくれる。
 でも、昨夜のハグから頭を撫でられたり手を繋いだり...急にスキンシップが増え恥ずかしくて戸惑ってしまう。
 どうして急に...?院長と会う日が近付いているから甘い雰囲気を出す為に...?
 ちゃんとわかっているし、勘違いはしてない。でも... 先生にあんな事をされてドキドキしない人はいないと思う...。これはきっと不可抗力。
 自分の気持ちを考え始めたら絶対に後悔するだけ。小説のヒロインにでもなった気分で、擬似体験していると思わないと。
 でも...先生は私に仮の婚約者としてどれほどの事を求めているの...?

 帰りの車でそんな事ばかり考えてしまい、家に着いてもまだぼんやりしていると「大丈夫?疲れちゃった?」と頭を撫でられる。
 「大丈夫です、先生はずっと運転もして下さったので疲れましたよね?今日は本当に楽しかったです、ありがとうございました」
 「よかった、少しは普段のお返しができた?俺も楽しかったし、いい気分転換になったよ」
 「お返しなんて...むしろ今日の事を私が何かお礼しないといけないくらいです」
 「じゃあ、今くれる?お礼」
 「...はい、でも今は何も...」用意していないと言おうとしたけれど、先生は私に近づき子どもを抱っこするように膝に乗せる。ぎゅっと抱きしめられ、先生の肩に乗せるかたちとなった私の頭を優しく撫でている。
 目の前には男性らしい少し血管の浮き出た首筋...そしてシャンプーの香りが鼻を掠めてさすがに動悸が抑えられない。
 「昨日良く眠れたから。今日も少しだけ...こうさせて?」
 耳元でそんな風に囁かれたら...抵抗なんてできない。それどころか、自ら先生の背中に腕を回している自分がいる。体温を分けてもらっているようで気がつけば冷えていた指先まで温まっていく。そして胸の奥からも、温かいものがじわじわと溢れ出すような感覚...。
 私、やっぱり先生のこと...